「ベルク通信とは、私どもの隠し球、秘密兵器なのです」「店長。これはあれですよね、毎月店のサービスの一環として発行される、フリーペーパーですよね?表向きそうであって、実は裏があるんですか?」「表のみです。裏面は印刷されておりません(過去何度か、例外がありますが)。ただ、いざという時、兵器になることもありうる」「いざ、と言うと?」「私どもは、新宿駅の片隅に、個人経営で店を構えています。大手に狙われる場所ですし、実際、キリンの系列にされそうになったこともありました」「買収されかかったんですか」「社長に呼び出されて」「キリンビールの?」「子会社ですけど。料亭にでも連れていってもらえるのかと思ったら、赤坂にある直営の若者向けパブでした。借りが出来ないよう、10万くらいたたきつけてくるつもりでしたが、その必要はありませんでした」「その話はもちろん、蹴った訳ですね」「そしたら、狸の置物みたいなその社長は、その場で自分の持っていた箸をテーブルにぽんと投げつけました」「サジでなく、箸を投げたんですね。それは通信で暴露しましたか?」「いえ、今回初公開です。まあ確かに、ベルクはお客様に気持ちよく過ごして頂くための空間です。血生臭い話はなるべく避けないと。ただ、いつ何が起こるかわかりません。JRの配下となったマイシティは、管理体制をますます強めていますし。そうした状況の中でメディアを一つ持つのは、自分達にとっても精神衛生上いいのです」「通信は、各方面に熱烈な読者が大勢いるようです。メディアとしての影響力も、ばかになりません。強力な兵器になるでしょう。でも、兵器として使われたことはあるんですか?」「爆発していませんが、地雷は既に仕掛けられています」「なるほど。その仕掛けを探すのも、通信の楽しみ方の一つかも知れません。ベルクファンのためにも、頑張って続けて下さい」「ありがとうございます。どうかお気をつけてお読み下さい」

(店長)


 

新宿というところは大変な所です。ひとたび駅を降りたならば、目的があろうとなかろうと、歩き続けなければなりません。立ち止まったら、後方より追突されたり、蹴飛ばされたりするわけです。でもそんな流れの中、足を止めて、ベルクに来たお客様は、勇気のある方々です。そして、その冒険にも似たひと時の中、足早に過ぎる流れを食い止めるように私達も必死に食事や飲み物を提供させて頂いております。それだけで充分なはず、なのですが、お客様にとっても、我々スタッフにとっても、何か、現場ではゆっくりお話ができない分、句読点があったならばなあ、という欲の果てに、このベルク通信はできました。能書きだけでもうるさがれるはずなのに、いつの間にか言葉の流れを止められなくなっているご無礼をお許し下さい。でも私達のおしゃべりは、まだまだ納まりそうにありません。この場所に打ち立てた杭に、ともに手を携えて頂いて来た業者の方、スタッフ、そしてなによりお客様との軌跡、そして今後を、このベルク通信で少しでも分かちあえていただけられたらなあ、と願います。

(ベルク通信編集長)